JSPO水泳コーチ1 資格更新講習に参加して参りました。

こんにちは、スイサポの齋藤です。
先日、JSPO公認水泳コーチ資格の更新研修に参加してきました。

研修では毎回、心肺蘇生法に関する講習が行われます。
今回は、新たに公表された「JRC蘇生ガイドライン2025」の解説と、実技講習を受けてきました。
そこで今回は、講習で学んだ内容を忘れないうちに振り返り、記録として残しておきたいと思います。

また、いざというときに適切な対応ができるよう、自身の復習にとどまらず、スイサポに所属するスタッフが緊急時に確認できる対応マニュアルとしてもまとめていきます。

本記事は講習内容の振り返りおよび学習記録を目的としています。心肺蘇生法は人命に関わる重要な技術です。正確な知識・手順の習得には、日本赤十字社等の講習受講をおすすめいたします。

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JSPO水泳コーチ1 資格更新講習振り返り一次救命処置 (BLS) の重要性

一次救命処置 (BLS) の重要性救急車到着までの平均時間

総務省消防庁の発表によると、119番通報を受けてから救急車が現場に到着するまでの全国平均は約9.8分となっています。さらに、病院に収容されるまでの平均時間は約44.6分にものぼります。

東京消防庁「令和7年版 救急・救助の現況」の公表
https://www.fdma.go.jp/pressrelease/houdou/items/kyuuki_20260116.pdf

コロナ禍前(令和元年)と比較しても、現場到着までに約1.1分、病院収容までに約5.1分ほど時間が延伸しており、救急現場の負担と搬送の長期化が顕著です。

「119番通報をすれば、すぐに救急車が来て助けてくれる」と思われがちですが、私たちが救急車を呼んでから現場に到着するまでに、少なくとも約10分もの空白の時間が生まれるという現実があります。

一次救命処置 (BLS) の重要性水没時間と死亡・重篤な障害のリスク

溺水事故において、水中に沈んでいた時間(水没時間)は、生存率および神経学的予後(後遺症を残さず社会復帰できるか)を決定づける最も重要な因子だと説明されています。

研究タイトル: Drowning
掲載誌 / 出典:The New England Journal of Medicine (NEJM)
主な知見: 現場でのバイスタンダーCPR(応急救命処置)の重要性と、水中滞留時間に応じた生存率低下のメカニズム(低酸素血症・窒息時間)が書かれており、それを基にグラフを作成しています。
  • 5分未満 (< 5分): 迅速な救助と適切な心肺蘇生(CPR)が行われた場合、後遺症なく完全回復する割合が約88.2%と非常に高い水準を示します。早期発見と即座の救命処置がいかに重要であるかが分かります。
  • 5〜10分 (5 - 10分):この時間を境に、良好な予後をたどる割合が約7.4%へと急激に低下します。死亡リスクや重篤な脳障害(後遺症)のリスクが跳ね上がる極めて危険な分岐点です。
  • 10分超 (> 10分):水没時間が10分を超えると、生存および社会的復帰の割合は数パーセント以下に激減します。低酸素状態が脳や各臓器に不可逆的なダメージを与えるためです。

これらを踏まえると、一刻も早い救命が大切だと講義の中でも説明されていました。

JSPO水泳コーチ1 資格更新講習振り返り一次救命処置 (BLS) の基本的な流れ

私たち(スイサポのスタッフを含む)は、医療従事者ではなく「一般市民」に該当します。
そのため、緊急時には一般市民が行う一次救命処置(BLS:Basic Life Support)に基づいて対応する必要があります。
今回の研修では、新たに公表された「JRC蘇生ガイドライン2025」に基づき、一般市民が行う一次救命処置について学びました。
基本的な流れは、以下のとおりです。

  1. 周囲の安全確認:自分自身と周囲の安全を確認する。
  2. 反応の確認:肩をたたきながら声をかけ、反応を確認する。
  3. 119番通報・AEDの手配:周囲に協力を求め、救急車の要請とAEDの手配を行う。
  4. 呼吸の確認と心停止の判断:普段どおりの呼吸があるかを確認する。しゃくり上げるような不規則な呼吸である「死戦期呼吸」にも注意する。
  5. 胸骨圧迫:普段どおりの呼吸がない場合や、呼吸の判断に迷う場合は、速やかに胸骨圧迫を開始する。
  6. 胸骨圧迫と人工呼吸:訓練を受けており、実施できる場合は、胸骨圧迫と人工呼吸を組み合わせる。
  7. AEDの使用:AEDが到着したら、音声ガイダンスに従って使用する。電極パッドを貼る際は、必要な範囲の衣服を取り除き、胸部を露出させる。
  8. 一次救命処置の継続:救急隊が到着するまで、AEDの指示に従いながら心肺蘇生を継続する。
  9. 医療従事者への引き継ぎ:救急隊に状況や実施した処置を伝える。蘇生した場合も、医療機関での受診が必要であることを本人に伝える。

なお、実際の対応では、傷病者の状態や現場の状況に応じた判断が必要なので、119番通報後は、通信指令員の指示にも従う事が重要です。

一次救命処置 (BLS) の基本的な流れ溺水の場合

プールで溺れた場合など、溺水が原因で心停止に至ったと考えられるケースです。
溺水の場合は、酸素不足が原因となっている可能性があるため、胸骨圧迫だけでなく、人工呼吸を組み合わせた心肺蘇生が重要となります。

ただし、人工呼吸は、実施できる人が行うことが前提です。
人工呼吸が難しい場合や、実施をためらう場合は、胸骨圧迫のみでも開始し、救命処置を遅らせないことが大切です。

また、救助者が1名の場合は、119番通報やAEDの手配なども含め、状況に応じた対応が必要となります。
具体的な手順については、通信指令員の指示や講習で学んだ内容に従う必要があります。

一次救命処置 (BLS) の基本的な流れ心停止の場合

プールサイドや更衣室など、陸上で突然倒れた場合が該当します。
この場合は、反応がなく、普段どおりの呼吸がない、または呼吸の判断に迷うときに、速やかに胸骨圧迫を開始することが重要です。

周囲に協力者がいる場合は、119番通報やAEDの手配を依頼し、到着したAEDを使用して救命処置を継続します。

一次救命処置 (BLS) の基本的な流れ一次救命処置 (BLS) を行う際の原則

一次救命処置を行ううえで、最も重要な原則の一つが、「自分自身の安全を確保すること」です。救助者が危険な状況に巻き込まれてしまうと、新たな傷病者が発生するおそれがあります。

特に水辺では、溺れている人を助けようとして安易に水中へ入ることは、救助者自身も溺れる危険につながります。まずは周囲に助けを求め、可能な限り陸上から救助するなど、安全を確保したうえで対応しましょう。

人命を守るためには、傷病者への対応だけでなく、救助者自身の安全確保も欠かせません。

JSPO水泳コーチ1 資格更新講習振り返り今回の改訂のポイント4つ

今回の改訂のポイント4つAED使用時に服を全部脱がさなくてよい

これまでは「上半身の衣類をすべて脱がせる」と理解されがちでしたが、パッドを貼る位置(右胸の上部・左胸の下側)の肌が露出していれば、服をすべて脱がせる必要はありません。

特に女性傷病者への配慮やプライバシー確保の観点、また寒冷環境での体温低下防止や手順の迅速化につながります。下着も、パッドを貼り付ける部分をずらす・めくることで対応可能です。

今回の改訂のポイント4つ心停止でなくても胸骨圧迫をためらわなくてよい

「心停止かどうか確信が持てない」という迷いから胸骨圧迫が遅れるのを防ぐための指針です。傷病者に反応がなく、普段通りの呼吸をしていない(または判断に迷う)場合は、ただちに胸骨圧迫を開始してください。

万が一、相手が心停止でなかったとしても、胸骨圧迫を行うことによる重大な害や危険性はきめて低いことが分かっています。
「間違っていたらどうしよう」とためらわず、迅速に胸骨圧迫を行うことが救命率の向上につながります。

今回の改訂のポイント4つオートショックAEDへの対応

最近導入が進んでいる「オートショックAED」は、電気ショックが必要と解析された際、ショックボタンを押さなくてもカウントダウンの後に自動で電気ショックが送られます。
救助者は「ボタンを押す」という操作が不要になりますが、その分、「ショックが実行される瞬間に傷病者から全員がしっかり離れること」の徹底がこれまで以上に重要となります。
アナウンスに従い、周囲の安全をしっかり確保して対応します。

今回の改訂のポイント4つ死戦期呼吸をCPRのサインとして認識する

心停止直後には、しゃくりあげるような呼吸や途切れ途切れのあえぎ呼吸(死戦期呼吸)が見られることがあります。
これを「息をしている・呼吸がある」と誤認して救命処置を遅らせてしまうケースが少なくありません。
死戦期呼吸は「正常な呼吸ではない=胸骨圧迫(CPR)を開始すべきサイン」であることを正しく認識し、迷わず心肺蘇生を開始することが大切です。

少しショッキングな映像が流れます。苦手な方はスキップしてください。
※動画の2:55 のところが実際の死戦期呼吸です。

という事で、今回は水泳コーチ資格更新講習会の講義内容を忘れない内にまとめていきました。
毎年の様に水難事故は発生しており、気を引き締めることが必要だと感じています。
特に、子どもを預かる立場としては、常に念頭に入れて対応すべきだと改めて思いました。
スイサポスタッフ間でもしっかりと共有し、安全に楽しくレッスンを提供できる様に努めて参りたいです。

スイサポ代表 
齋藤 謙虎

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