子どもを週2回スイミングに通わせるメリットとは?習い事の最適解を徹底考察。

子どもを週2回スイミングに通わせるメリットとは?習い事の最適解を徹底考察。

子どもの水泳頻度を週1回にするか、週2回にするか問題。

スイミングは子どもの習い事として常にトップクラスの人気を誇ります。
命を守るスキルとして、子どもの健康維持・増進のため・喘息を治す為など、様々な要因で人気を誇っています。

子供に習わせたい習い事ランキング1位の水泳。

しかし、保護者の皆様が直面する最大の悩みが「週1回にするか、週2回にするか」という選択です。
結論から言えば、短期間での上達と運動能力の飛躍的向上を目指すなら「週2回」が圧倒的に効率的です。
その理由を以下にまとめていきます。


子どもの水泳頻度を週1回にするか、週2回にするか問題。スイミングを週2回を通わせる方が効率的な理由を考察

スイミングを週2回を通わせる方が効率的な理由を推察人間が情報を忘れるメカニズムの研究

まず、すべての学習の基礎となるエビングハウスの研究を紹介します。

1885年、心理学者ヘルマン・エビングハウスは、人間が情報を忘れるメカニズムを数値化しました。
その結果、「記憶は学習直後に最も急激に失われ、1日後には半分以上を忘れる」ことが判明しました。
しかし、適切なタイミングで「復習(再学習)」を行うことで、忘却のスピードを遅らせ、記憶を定着させることができるという理論です。

エビングハウスは「知識」の記憶を研究しましたが、これを「スポーツの動作(運動技能)」に応用した研究も数多く存在します。

エビングハウスの忘却曲線 (ヘルマン・エビングハウス / 1885年)

スイミングを週2回を通わせる方が効率的な理由を推察体が覚えるには、忘れる前に上書きする習慣が重要

今度は、運動の記憶に関する研究データから考察してみます。
筑波大学大学院の藤岡氏らによる論文『身体動作に関する学習・記憶研究の概観』によれば、運動学習は言語学習と比較して長期保持に優れ、特に「実際に自分で動くこと(SPT)」が記憶の定着に大きく寄与することが述べられています。

身体動作に関する学習・記憶研究の概観
著者: 藤岡久美子(筑波大学大学院)、杉原一昭(筑波大学心理学系)
掲載誌: 筑波大学心理学研究 第18号(1995年)

こちらは、過去1世紀にわたる「運動学習」と「記憶」の研究を整理し、身体を動かすことがどのように記憶に定着するかを学術的に考察したものですが、今回の「週2回を通わせる方が効率的」な理由をこちらの文献を基に考えてみます。

1.運動技能の「長期保持」について

まず、論文では、初期の研究から「運動技能(泳ぐ・歩く など)は、言語的な記憶(英単語など)よりも保持されやすい」という傾向が議論されてきたことを示しています。
皆さんも自転車や車の運転、パソコンのタイピングなど、一度覚えると久しぶりでも何となくできる感覚に陥ったことはありませんか?

あれです。

運動学習は、一度身につくと忘れにくい「手続き記憶」としての側面が強く、タイピングや追跡課題などを用いた実験の歴史がそれを裏付けています。
ただし、ここまででは週2回が良い理由にはならなそうですね...。


2.「分散学習(小分けの練習)」の有効性

論文の「1-1 運動技能の長期保持への関心」セクションにおいて、1950〜60年代の研究成果として以下の点に触れています。技能獲得の実践的な問題として、「集中学習(まとめてやる)」よりも「分散学習(間隔を空けて頻度を高くやる)」の比較が検討されてきました。

その結果、運動学習(スポーツ技能の獲得)の領域においては、「分散学習(練習を小分けにして頻度を高める)」の方が、技能の定着率および長期的な保持において圧倒的に有利であるという結論が出ています。

つまり、頻度を高く行うことで定着しやすくなる。
そう考えると、ここで週1回よりも週2回の方が効率が良いという事は理にかなってきますね。


3.「やって覚える(実行効果)」のメカニズム

「動作記憶研究(SPT)」のセクションでは、実際に身体を動かすことの効果が述べられています。
被験者が動作の内容を単に聞く・見るだけでなく、実際に自分で実行することで、運動動作の学習が劇的に向上することが示されています。

つまり、フィードバック時に「来週まで忘れないでね」 と言うよりも、実際に泳ぐ方が良いという事ですね。これまた週2回の方が良さそうな理由になりますね。


子どもの水泳頻度を週1回にするか、週2回にするか問題。週2回通わせたいけど、課題も多い...。

スイミングを週2回通わせた方が良い理由は見えてきましたね。
しかし、これを実現させるためには様々な障壁があります。

スイミングを週2回通わせたいけど、課題も多い...。入会待ちで週2回は入れない!

これは、東京都内においてよく出てくる問題です。
少子化と言われる現代でもスイミングの需要は多く、都市部では局所に人口が集中する現象が起きています。
スイミングスクールも提供できるキャパが限られていますし、何より老朽化により閉鎖する施設もあります。

こうなると、シンプルに入会できる「泳ぐ機会すらない」状態が起こるのです。
週2回通わせる以前に、そもそもスイミングに通えないんですよね。

スイミングを週2回通わせたいけど、課題も多い...。他の習い事がありスケジュール確保が難しい!

2つ目の理由としては、「他の習い事との兼ね合い」
こちらも都市部では、「中学受験」が過熱しており、小学校4年生辺りから本格化していく傾向にあります。
これ以外に、習い事をしている子どももいるので、習い事を掛け持ちしたり、「週9回習い事してる」なんてフレーズも出てきます。
そう考えると、小学校3年生までにクロール、平泳ぎまで行きたいけど、小学校1年生でやっと入会し、進級基準が細かすぎて全く進まない...。
休日は家族で旅行にも行きたいですし、大きな課題として圧し掛かってくるわけです。

スイミングを週2回通わせたいけど、課題も多い...。コーチ1人に対し子どもが多いので実際に泳ぐ頻度が少なすぎる!

そして3つ目の課題がこの問題。
とにかく、子どもの数が多いんですよね...。

1時間のレッスンで泳げるのは8回ほど。
しかも、レッスンを進行させるために、補助も最小限で、簡単に説明をしたら右から左へ流していくだけ。
上手くいく子は良いですが、水泳が苦手な子供や、水泳初心者にとっては、どこに課題があり、どうすれば良いのか分からないまま進んでいくと、モチベーションの低下や進級できずに滞留するといった形に陥りやすいです。

確かに頻度は高いですが、「効率」という観点では果たしてどうなのでしょうか...?

スイミングを週2回通わせたいけど、課題も多い...。個人レッスンという提案

こうした、「頭では週2回が良いとわかっているけれど、現実的に通わせるのは難しい」という問題を解決する強力な選択肢が、「プライベートレッスン(個人レッスン)」という手段です。
運動学習を効率よく行うためには、頻度ともう一つ、非常に重要な視点があります。それが、運動学習理論における「フィードバックの質とタイミング」です。

プライベートレッスン(個人レッスン) という提案1.運動学習理論から見る「質の高いフィードバック」の威力

運動学習の権威であるリチャード・シュミット(1975)の「スキーマ理論」では、正しい動きを定着させるために「結果の知識(KR)」と「パフォーマンスの知識(KP)」という2つの情報が不可欠であるとされています。

集団レッスンと個人レッスンのフィードバックを比較してみます。

大人数のスクール
コーチが一人ひとりに割ける時間は数秒。
フィードバックは「もっと手を伸ばして!」といった抽象的な声掛けに留まりがちです。

個人レッスン】
泳ぐたびに「今の良かったよ」「次はここを意識して」「頭が上がるとなんで良くないと思う?」 と、その子のためだけの具体的かつ即時的な修正が入ります。

即時フィードバック & 個別具体的なフィードバック
このフィードバックの質こそ、運動技能の定着に必要不可欠で、先ほどの課題を解決してくれる要因のひとつです。

A schema theory of discrete motor skill learning. - (RA Schmidt 著 · 1975 )

プライベートレッスン(個人レッスン) という提案月2回の「分散学習」で着実な定着を狙う

「月2回(隔週)の個人レッスンなら……」と考える保護者の方も多いでしょう。

これは、前述の筑波大学の研究 (藤岡・杉原 1995) 「分散学習(小分けの練習)」の有効性 の観点からも十分に対応できます。
大切なのは、「質の高いフィードバックと頻度」 この組み合わせ。

週2回のレッスンは頻度が高く、フィードバックが薄いのに対し、
個人レッスンは、頻度は抑えめで、フィードバックの質をたかくすることでアプローチしていきます。

これは、私の肌感ですが、月2回 (隔週) で行えていれば、スイミングスクールで毎週通う子ども達と同じスピード感で泳げるようになる感覚です。また、小学校高学年や中学生になると、泳げない状態から約半年でクロール25m習得まで進むお子様も多く、実際にその様なケースを多く見てきました。

こうすると、他の習い事との兼ね合いも解決できそうですね。

まとめ

ということで、今回はスイミングスクールの頻度は、週1回か週2回が良いのかについて考察してみました。
結論としては、週2回が圧倒的に良いですが、現実的な課題もあると思うので、ご家族のライフスタイルや目的に合わせて、週1回・週2回・個人レッスンの中から上手く選択したほうが良さそうですね。

スイミングスクールを探している皆様のお力になれば嬉しいです。
それでは👋

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