こんにちは、スイサポの齋藤です。
今回はトレーニングではなく、
「水泳そのもの」のお話です。
「どうすれば、前に進むの?」
そんな疑問を持っている方は多いと思います。
アスリートスイマーはもちろん、
▶健康維持・増進を目的としたシニアの方
▶プールの授業でクローに挑戦している子ども
▶スイミングスクールで進級を目指す子ども達
水泳を楽しむ全ての人に共通する内容です。
参考にしている書籍は記事の終盤で紹介しています!
水泳とはどんなスポーツ?(結論)
水泳とは、、、
①いかに抵抗を減らすか?
②その上で、抵抗を上手く利用する。
この2つの考えが大切なスポーツです。
では、なぜそう言えるのか?
まずは、「スイマーがどの様に前に進んでいるのか (=推進力の仕組み)」から見ていきましょう。
水泳とはどんなスポーツ?どの様に推進力をえているの?
結論から言うと「ニュートンの第三法則」が最も有力だと言われています。
ニュートンの第三法則とは「作用・反作用の法則」とも呼ばれ、一方が力を加えると、同時に同じ大きさで反対向きの力が返ってくるという原理です。

人間が泳ぐとき、手のひらで斜め後方へ水を押す事で、その反作用で推進力(前に進む力)を得ていると言うのが、現在最も有力な見解です。
さて、もう少し深掘りしていくと、水泳が「いかに抵抗を減らし、いかに抵抗を利用していくスポーツなのか?」この理由が見えてきます。
ここからは、少しだけ専門的になりますが、できるだけ分かりやすく説明しますね。
「いかに抵抗を減らすか?」この考えが大切な理由
さて、小難しい内容ですが、お付き合いください。
以前も触れましたが、水は空気よりずっと重たく、約800倍も密度があります。
そのため、水の中では動くたびに大きな抵抗がかかります。
水の特性についてはこちら👇
たとえば、水の中で手を動かすと「重いな」と感じるのはそのためです。スイマーが泳ぐときも同じで、この水の抵抗によって体の前と後ろに圧力の差が生まれます。
そして、人間に限らず、どんな物体でも水中を動かすと、圧力の高い方から低い方へ流れようとする性質があります。

前に進もうとすると、当然、体の前側に抵抗(圧力)がかかります。この前側の圧力が大きすぎると、どんなに頑張っても進みません。
これが、「①いかに抵抗を減らすか?」という考えが重要になる理由です。

「その上で、抵抗を上手く利用する。」この考えが大切な理由
ここで出てくるキーワードが2つあります。
1つ目が「抗力」、2つ目が「揚力」です。
まずは、抗力から解説していきます。
抗力 (こうりょく)
抗力とは、簡単に言えば「水の抵抗」のことで、
進行方向とは反対向きに働く力です。
これは、先ほどの「作用・反作用の法則」で説明できる現象ですね。
抵抗と聞くと、「スピードを落とす」「邪魔をする」といったマイナスのイメージが強いかもしれません。
しかし、スイマーにとっての抗力には、実は2つの大切な側面があります。
① ブレーキとしての側面
これは想像しやすいですよね。
姿勢が崩れたり、体が沈んだりすると、前に進もうとする力が抗力に負けてしまい、スピードが落ちてしまいます。
② 推進力としての側面
一方で、抗力を上手に使うことで前に進む力を生み出すこともできます。
例えば、手のかき(ストローク)やキック。これらはまさに「抗力を利用して前に進む」動きです。
皆さんも前に進むために手足を動かしますよね??
人間が水の中で前に進もうとすると、どうしても抵抗(=抗力)が発生します。
そのとき、体の前と後ろには圧力の差が生まれます。
どんな物体でも水中を動かすと、
圧力の高い方から低い方へと水が流れようとする性質があるため、スイマーは「後ろ側(後方)」の圧力を高めて、体を前に押し出す必要があるのです。

そのために行うのが、手のかきやキックです。
これらの動きによって後方の圧力が高まり、反作用として体が前へ進む。
つまり、「抗力(抵抗)を利用して、作用・反作用の力で前へ進む」これこそが、水泳の推進力を生み出す基本的な仕組みなんです。
そして、もう一つの力「揚力」も、水泳の推進力に欠かせない存在です。次にその仕組みを見ていきましょう。
揚力 (ようりょく)
少し、難しい表現ですが、揚力とは「抗力に対して垂直方向に発生する力」を指します。
簡単に言うと、水を押したときに、少し上や斜め方向に生まれる浮き上がる力のことです。
イメージしやすく言えば、飛行機の翼が空気を下に押して上に浮くような力です。
泳ぐとき、スイマーの手や腕、足が水を斜めに押すことで、この「浮かせる力=揚力」が生まれ、体を前に進ませるサポートをしてくれます。
水泳の推進力の理論
スイマーはこの「抗力」と「揚力」を上手く組み合わせて最小限の努力で効率よく水を押しています。

ただ、腕を回すだけ、がむしゃらに水を押すだけでは、確かに前に進むのですが、推進力も小さくスピードもゆっくりな上にとても疲れます。
だからこそ、キャッチやプッシュなどのストロークのテクニックやキックのテクニックなどを磨き、効率よく水を押す必要があります。
これが、抵抗を減らした上で、抵抗を上手く利用すると言う考えが大切な理由です。
まとめ
という事で、今回は水泳がどんなスポーツなのか?についてまとめていきました。
どうすればもっと抵抗を減らせるのか?
どうすればもっと推進力をえられるのか?
こちらについては、随時発信していきますね!!
それでは👋
参考文献
▶ スイミング・サイエンス:水泳を科学する
河出書房新社|2018/7/14|G・ジョン・マレン (編集), 黒輪篤嗣 (翻訳)
▶ Swimming Fastest
ベースボールマガジン社|2005/12/1|E.W. マグリシオ (著), Ernest W. Maglischo (原名), 高橋 繁浩 (翻訳), 鈴木 大地 (翻訳)
▶ 水泳指導教本 三訂版
日本水泳連盟 (編集)|2019/4/26
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