育成コースのお子さまの水泳の記録向上について

育成コースのお子さまの水泳の記録向上について

「一生懸命練習しているのに、なかなか制限タイムを突破できない……。」
育成コースに通うお子さまをお持ちの保護者様なら、一度は感じたことのある悩みかもしれません。特に小学生の時期は成長の個人差が大きく、努力がすぐに結果につながらないこともあります。
しかし、お子さまの発育の仕組みを理解し、それに合った練習を取り入れることで、記録向上を効果的にサポートすることができます。
本記事では、水泳のタイムを伸ばすために 「どんな考え方が必要か?」 を整理し、スイサポの指導方針についてもお伝えしていきます。

前置きがかなり長いですが、ご依頼を頂く前にスイサポではどの様に分析、練習が進んでいくのか参考にして頂ければ幸いです。

育成年代の練習方針よくあるご相談

育成コース(育成年代/小学校低学年)の練習を進めていく場合、大前提として 子供の発育・発達水泳の基礎知識の2つを念頭に練習していかなければなりません。ただがむしゃらに練習をしてもなかなか上手くいかないのです。

👉例えば、以下の様なケースがあります。
小学校低学年(小学3年生くらいまで) で育成コースに所属しているが、記録が伸びない。
この場合、単純に練習量を増やすだけではなく、以下のポイントを意識することが重要です。

水の抵抗を減らすフォームを意識する
発育段階を考慮し、適した練習を取り入れる
「効率的な動き」を身につけることを優先す

この様に設計していくと理にかなった練習ができると考えます。
①②を育成年代に身につけて、適切なタイミングで③へ進むことで、長期間にわたり記録の向上ができるわけですね。


【育成コース向け】 水泳の記録を伸ばすには?水泳の記録を縮めるために考える事

水泳の記録を縮めるために考える事水の抵減を減らす意識は出来ていますか?

水泳は【いかにして抵抗を減らすか?】と言う概念のスポーツです。

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例えば、
▶ 水中姿勢が悪いと、身体は沈んでしまう → 水の抵抗が増える。
▶ 呼吸時に力みすぎて腰が反る → 体が上下に動き、波が立つ。(抵抗が増える)
この状態で手足を一生懸命動かしても、余計なエネルギーを消費するだけで、思うように進みません。

つまり、ブレーキとアクセルを同時に踏んでいる状態ですね。お気づきかと思いますが、この状態でさらにアクセルを踏んでもあまり進んでくれません。それどころか、無駄にガソリンを消耗したり、タイヤも摩擦でダメになりますね。
人間だって同じです。無駄にエネルギーを使うのですぐにバテたり、どこかしら故障します。

まずは、お子さまの 「泳ぎのフォーム」 を見直し、無駄な抵抗がかかっていないかを確認することが大切です。

スタートやターン後の姿勢はどうですか?
頑張りすぎて背中丸くなっていないですか?

力みすぎて泳ぎが上下に跳ねていないですか?

水泳の記録を縮めるために考える事子どもの発育発達を知っていますか?

品川区の水泳個人レッスン:スイサポ

さて、育成年代を育てていくうえで欠かせないのが、身体の発育・発達について。これを示したのがスキャモンの発育発達曲線です。スキャモンの発育発達曲線とは、身体の発育を4つのカテゴリーに分けて示したものです。

①神経型
平たく言えば 「身体の使い方」「運動神経」 の発育発達を示したものです。日本スポーツ協会 (以下、JSPO) によると、この神経系の発育は、5~6歳で大人の約80%、12歳ごろにはほぼ100%に達するとされています。

②一般型
身長・体重・筋肉・骨格・持久力・循環器系・呼吸器系などの発育がこれに該当します。
出生から緩やかに成長し、6~8歳で一時的に成長が鈍化します。その後、思春期(男子:約12歳 / 女子:約10歳)で急激な成長スパートを迎えます。もう少し細かく言うと、持久力や心肺機能は中学生(12歳~15歳)筋肉や骨格は高校生(16歳~18歳) 頃に著しく成長していきます。

③リンパ型
こちらは、免疫機能に関わる部分です。扁桃やリンパ節、胸腺などが該当します。
今回は、こちらの内容は割愛します。

④生殖器型
こちらは、生成塾に関わる部分です。今回関係する部分としては、第二次性徴(ホルモン分泌)です。
図を見て頂くと分かるように、幼少期はほぼ成長しません。高校生(16歳ごろ) から急激に成長していきます。
つまり、「鍛えて筋力・パワーをつける」 という目的で小学生に筋トレをしてもあまり効果はないのです。なぜなら、筋肉の発達にはテストステロン(男性ホルモン)の関与が大きいのですが、この時期は生殖型(ホルモン分泌)がほぼありません。0にどれだけかけても答えは0なのです。

小学生のうちは 「筋力」や「持久力」よりも、「神経系の発達が大きなカギ になります。
「とにかくたくさん泳げば速くなる!」と考えてしまいがちですが、実は 効率的な動きを覚えることが優先 です。

水泳の記録を縮めるために考える事年代毎にどんな練習が理想か整理できていますか?

発育発達の観点から、JSPOでは育成年代を3つのグループに分けています。
スキャモンの発育発達曲線の内容とリンクしているので、こちらは要点だけまとめていきます。

1.3~8歳 (プレゴールデンエイジ)
▶神経系の発達が最も著しい時期。
▶JSPOでは、コーディネーション能力を高めるトレーニングを推奨。
▶遊びの要素を取り入れた多様な運動経験が重要。

【具体的なトレーニング例】
▶バランス能力 (片足立ち、平均台、トランポリン など)
▶リズム能力 (音楽に合わせて動く、縄跳び など)
▶反応能力 (変則的なスタートダッシュ、鬼ごっこ など)
日常生活や学校生活、遊びの中で鍛えられる部分が多く、様々な動きやスポーツに触れることが重要。

2.9~12歳 (ゴールデンエイジ)
▶神経系の発達がほぼ完了する時期で、運動スキルの習得に最適な時期
▶JSPOでは、スポーツ技術の習得を積極的に行う事を推奨している。
▶正しい動きを効率的に覚えられるため、水泳のフォームやターン技術を指導するのに適している。

【具体的なトレーニング】
▶水泳競技特化のトレーニング (スタート、ターン、ストローク)
▶多様な環境での動作 (陸トレと水中トレーニングの併用)
複数の動作を組み合わせたトレーニング(スイム+ダッシュの連携)

3.12歳以降 (思春期)
▶神経系の発達が安定し、ここからは持久力や筋力が向上。
▶中学生は「心肺機能・持久力」、高校生は「筋力」の向上を意識。
▶JSPOでは、「正しいフォームの維持」と「競技特性に合わせた専門的トレーニング」を推奨。

【具体的なトレーニング】
▶フォームチェックと修正 (ビデオ分析を活用)
▶筋トレの導入 (負荷を増やしつつい正しい動きを優先)
▶反応速度を向上させるトレーニング (リアクションスタートなど)

水泳の記録を縮めるために考える事コーディネーショントレーニングについて

育成コースに所属している多くの子ども達は、3~8歳のプレゴールデンエイジ 又は 9~12歳のゴールデンエイジに属しているケースがほとんどだと思います。
3~8歳までは、水泳の練習のみでなく、とにかくいろんな動作やスポーツに触れておくことが大切です。休み時間に縄跳びやドッジボールを行うのも良いですし、家のお手伝い時でも工夫できる部分はあります。

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とはいえ、育成コースに所属している子どものほとんどが、9~12歳のゴールデンエイジに属してくるので、コーディネーショントレーニングも少し水泳要素を取り入れる必要があります。それぞれ整理していきましょう。

スイサポでは何をするのか?

スイサポでは、お子さまの年代や泳ぎの特徴を整理し、「記録向上に最適な練習プラン」 を作成します。

✔ スイサポの活用方法
✅ お子さまの泳ぎをチェックし、「どこに問題があるのか?」を分析
✅ 「タイムが伸びない原因」を整理し、個別に最適な練習を提案
✅ 練習後、「普段のスクールでどんな意識を持てばよいか?」をアドバイス

一般的なスイミングスクールでは、個別に対応するのが難しく、練習方法が 「みんな一律」 になりがちです。しかし、スイサポでは 「お子さまに最適な練習方法」 を考え、一緒にタイム向上を目指します。


まとめ

育成コースで「なかなか記録が伸びない」と悩んでいる場合、 やみくもに泳ぎ込むのではなく、まずは「泳ぎの質」を見直すことが大切 です。

水の抵抗を減らすフォームを意識する
発育段階を考慮し、適した練習を取り入れる
「効率的な動き」を身につけることを優先する
スイサポでは、お子さまの成長に合わせた 「最適なトレーニングプラン」 を提供しています。
「どうすれば記録を縮められるのか?」を一緒に考え、サポートさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください!

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【参考文献】
▶JSPO Aテキスト⑥予防とコンディショニング
▶Scammons, R. C. (1930). "The Measurement of the Body in Childhood." University of Minnesota Press.
▶Maglischo, E. W. (2003). "Swimming Fastest." Human Kinetics.
▶Keskinen, K. L., Komi, P. V., & Hollander, A. P. (2002). "Biomechanics and Medicine in Swimming VIII." University of Jyväskylä Press.

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