今回は、タイトル通りの内容です。
ここ最近では、だいぶ認知も広がってきましたが、それでも「詳しい内容やトレーニング方法、理論を知らない。」と言う方がほとんど。なかには、「ウエイトトレーニング(筋トレ)を行うと、泳ぎが硬くなる」というマイナスなイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか?
今回は、これらの疑問を一つひとつ解決していきたいと思います。
水泳選手にもウエイトトレーニングが必要か?
水泳選手にもウエイトトレーニングが必要か?結論、ウエイトトレーニングは必要
これは、水泳選手に限った話ではないですが、アスリートとして競技をするならば必須と言っても良いです。
(もちろん、マスターズの方や趣味で水泳をされている方も同様です。)
まずは、この部分を解説していきます。
水泳選手にもウエイトトレーニングが必要か?なぜ、ウエイトトレーニングが必要なのか?
下の画像は、ウエイトトレーニング(筋トレ)と水泳の関係を分かりやすくまとめたものです。
下が基礎(基盤)で上に進むほど応用・水泳動作へと進んでいきます。
ウエイトトレーニングはこの中で一番最下層である「基礎」の部分を作りこんでいきます。
ウエイトトレーニングで強化できるのは、図の中の赤字の項目。
筋力UP(筋肥大)・筋出力・柔軟性・けがの予防・筋パワー・水泳動作へ変換するトレーニング が該当します。

この様な研究結果があります。
題名:Neuromuscular Repatterning of the Pectoralis Major During the Bench Press Exercise Following a 10-week Targeted Resistance Training Intervention
著者:Katarzyna Stronska-Garbienら
公開日:2024年9月1日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC11367169/
この研究では、10週間にわたるターゲットトレーニング後に、
ペンチプレス動作中の大胸筋の活動が大幅に増加したことが確認されています。
コントロールグループと比較しても、
ターゲットトレーニングを行ったグループの方が、明らかに筋肉の活動が向上。
この結果は、特定の筋肉に対する意図的なトレーニングが、
全体の動作効率を高めるために有効であることを示しています。
平たく言えば、ウエイトトレーニングを行う事により、
パフォーマンスが上がるという事です。
水泳選手にもウエイトトレーニングが必要か?基礎がしっかりしている程、結果を出す可能性が広がる。
クロールのキャッチ~プル の際には、大胸筋 (胸の筋肉) を使用します。
上記の研究結果に当てはめて考えていくと、
大胸筋が強ければ、キャッチ~プル が強くなる と言う事です。
アスリートにとっての基礎は自分の「身体」
まずは、筋トレなどで「基礎(土台)」をしっかり築く事が大切なのが良く分かります。
下の画像は一番最下層(基礎)の面積が広いほど、最上部の面積も広くなることを示しています。
水泳に限らずですが、筋トレなどで土台をしっかりしておく方が、より良い結果を出す可能性が広がります。
ウエイトトレーニングはその役割の一端を担っていると考えています。

ウエイトトレーニングが必要な理由大学水泳選手やマスターズの方に伝えている例え話
「アスリートのパフォーマンスは建築と同じ」
これは、僕が水泳選手(他の競技も含む) や趣味で水泳をされている方々によく話す内容です。
ビルを建築する時を想像してみて下さい。
①敷地面積が広く、地面を均し、鉄筋やコンクリートで固めた地盤。
②敷地面積が狭く、地面もボコボコで、ただコンクリートを流し込んだ地盤。
どちらが居住スペースが広く、しかも頑丈で大きなビルが建築できそうですか?
身体の地盤を固めることによって、
理想のレース結果を出せる可能性が高まる。
その土台となる要因の1つが 『ウエイトトレーニング』
だからこそ、水泳選手にもウエイトトレーニング(筋トレ)は大切なのです。
水泳選手にもウエイトトレーニングが必要な理由ウエイトトレーニングが必要な理由を深掘り
ウエイトトレーニングの効果①筋出力の向上
筋出力とは、「瞬発力」や「爆発力」 又は、
「筋肉の動員率(コントロール率)」 を指します。
① 短時間で力を発揮し、素早く身体を動かす能力
② 必要なタイミングで、正確に筋肉を動員する能力
要するに、身体をうまくコントロールさせることと解釈して良いです。
①短時間で力を発揮し、素早く身体を動かす能力 は、
水泳のスタートで台を蹴る瞬間、最大限の力を短時間で発揮する必要があります。
この場合、主に臀部(お尻)の筋肉をいかに素早く収縮させるかが求められます。
高重量のSQ(スクワット) を行ったり、 JumpSQ(プライオメトリックストレーニング) を行う事で向上させることが可能です。
② 必要なタイミングで、正確に筋肉を動員する能力 は、
水泳のスタート動作において、台を蹴ると同時に、上半身を引き上げる・腕を後ろに引くなど全身の連動を正確に行う事が求められます。
この場合は、股関節+体幹+上半身 など全身を連動させるトレーニングを行う事で向上させることが可能です。
ウエイトトレーニングの効果②筋力の向上と筋肥大
筋力とは、筋肉が発揮できる最大の力(張力) の事を指します。
具体的には、筋肉の太さや筋繊維の数によって変化します。
筋肉が太い(デカい) 方が大きな力が生み出せると解釈して良いです。
①体幹(腰部)の筋力が強い(筋肉デカい)方が、水中姿勢が保てる。
②広背筋(背中)の筋力が強い(筋肉デカい)方が、1ストロークでたくさん進む。
③股関節周囲の筋力が強い(筋肉デカい)方が、キックが強く打てる。
この様に考えることができます。
この場合は、中程度の負荷でウエイトトレーニングを行う事で筋力の向上や筋肥大を行う事が可能です。
ウエイトトレーニングの効果③柔軟性の向上
意外かもしれませんが、ウエイトトレーニングでも
適切な負荷や可動域で行うと、柔軟性が向上することが分かっています。
ただし、筋肉自体が柔らかくなるというよりも、スポーツ動作がスムーズになるという解釈です。
そのメカニズムとしては以下の通りです。
①筋肉と腱の可動域の拡大
ウエイトトレーニングでは、筋肉が伸びる・縮むを繰り返していきます。
この伸びる局面で適切な負荷で正しい姿勢かつ適切な可動範囲で行うと、筋肉にストレッチがかかり柔軟性が高まるのです。
逆に、無理な重さで、姿勢も悪く、動く範囲が小さいと、筋肉は縮む負荷ばかりがかかりでほとんど伸びません。これでは聞いてる感じはしますが、身体が硬くなってしまいます。
②筋力・柔軟性の向上による相乗効果
筋力が上がると、関節をしっかり支えられるようになります。
その為、バランスがとれるようになり、力みが少なくリラックスした動きが可能です。
一般的なストレッチでもそうですが、リラックスして行う方がより筋肉が伸びて柔軟性が上がりますよね?まさしく同じ効果が期待できるのです。
③神経筋制御の改善
ウエイトトレーニングにより、筋肉と神経系の連携が強化され、効率的な動きが可能になります。
簡単にいえば、能脳から筋肉への「動け!」という命令がスムーズになり、思い通りに身体を動かせるようになるのです。これにより、関節を適切な範囲で動かす力が向上します。
関節を適切な範囲で動かす力が向上する。
つまり、筋肉にストレッチがかかる局面を生み出せるので、柔軟性が上がるというわけです。
ウエイトトレーニングに関する疑問
ウエイトトレーニングに関する疑問ウエイトトレーニングはどのくらいの頻度で行う?
目的に応じて変わりますが、基本的には 『週に2回・1回あたり1時間』 で大丈夫です。
これは、超回復理論に基づいています。週1回程度では、なかなか効果を得られません。
▶ 水泳選手にも知って欲しい【トレーニングの原理・原則】 | 品川区・杉並区・江東区・横浜市のスイミングスクールスイサポ
ウエイトトレーニンを行った日から2~3日後に2回目のトレーニングを行う事で、
トレーニングの効果を最大限引き出しやすくなります。
ウエイトトレーニングに関する疑問筋肥大(身体をデカく)しすぎるとダメなのでは?
確かに、ただデカくするだけではダメです。
大切なのは、デカくする期間 と 水泳仕様に変換する期間を設けて計画的に行う事です。
しっかり計画を立てて行えていれば問題ありません。
水泳仕様に変換するトレーニングの一例は、こちらを読んでみて下さい。
▶ 水泳選手向け:ドライ トレーニングの考え方 | 品川区・杉並区・江東区・横浜市のスイミングスクールスイサポ
ウエイトトレーニングに関する疑問ウエイトトレーニングをすると泳ぎが硬くなる?
こちら良くある疑問ですが、答えは上記と同じです。
ただデカくするトレーニングのみを行い、柔軟性を上げるエクササイズ や水泳に還元するトレーニングを行わない場合、この様な課題に陥ることもあります。
ウエイトトレーニングに関する疑問ウエイトはより重たい重量を挙げるべき?
こちらは、目的や期間によります。
ただ、言えることは、「姿勢を崩してまで無理に行う必要はない」と言う事です。
理由はシンプルで、
「特定の筋肉に対する意図的なトレーニングが、
全体の動作効率を高めるために有効である」からです。
無理な姿勢を取り、特定の筋肉に適切な負荷がかからなければ
水泳のパフォーマンスを上げることは難しいです。
まずは、適切なフォームで行える範囲から進めて良いです。
今回は、なぜ水泳選手にウエイトトレーニングが必要なのかをまとめていきました。
なかなかしんどいとは思いますが、より良い結果を出す為にも、目的を持ってしっかりトレーニングを行いましょう!
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